探花抄Ⅳ各話あらすじ


〈序〉清英君と芙蓉郎

蒼瑾が珠楼鎮に来て半年が経った。養花堂の顧客である崔夫人は、崔家塾の門生として蒼瑾を迎える。崔家長子・英覇に気に入られるが、蒼瑾は彼に戸惑っていた。

清明節、崔家主催の宴に蒼玦と蒼瑾は参加する。蒼玦が目を離す隙に、英覇と仲間たちは蒼瑾を捕らえ、関係を迫る。相手が顧客の息子であり、異能力を持たぬ弱き者であることから、蒼瑾は抵抗を出来ずにいた。しかし、蒼玦が駆け付けて蒼瑾を救う。蒼瑾は強がっているが、蒼玦はこの出来事を重く受け止める。


〈一〉 花天鳥

清明節から一週間が経ち、崔家荘での出来事が影響を広げていた。蒼玦は蒼瑾の塾通いを中断し、新しい教師の手配に取りかかっていた。一方、英覇は蒼瑾を訪ねるが門前払いに遭い、不快な思いを抱えて立ち去る。

翌日、蒼瑾と彤茜は薬の配達途中に珠楼池に立ち寄る。そこで彼らは孔雀に似た怪鳥と出会う。騒ぎを聞きつけた男・劉芹圃が現れ、怪鳥は消える。偶然にも、芹圃が配達先の子息だと判明する。彼は珠楼池で探し物をしていると告げる。蒼瑾は怪鳥と芹圃の関係に疑念を抱く。


〈二〉 劉芹圃

珠楼池の中島で妓女に琴棋書画を教える劉芹圃。ある日、突然実家から呼び出される。戸惑う芹圃を待ち受けていたのは、蒼瑾との食事会だった。芹圃の父は、養花堂の令息である蒼瑾の教師となるよう命じる。親孝行を兼ねて引き受けるが、芹圃は蒼瑾に対して条件を出す。恋人・藍田との逢瀬を語り、行方不明になった彼女を探していたことを明かす。藍田を探す手がかり、花天鳥と遭遇した蒼瑾に協力を要求する。蒼瑾は記憶の中の少女を求める自分自身と芹圃の境遇を重ね、手がかりを示すことを約束する。


〈三〉 花客

洪家に二人の来客がある。休学中の蒼瑾が珠楼池に転落したとの噂を聞いた崔夫人は、蒼玦に事情を詰問する。夫人との長い会話の最中、花神・百花仙子が現れる。神々しい美女が狎れた様子で蒼玦に接するのを見た崔夫人は、打ちのめされて洪家を後にする。

その後、百花仙子と過ごした蒼玦は夢を見る。半年前、深い山奥で花神の導きに従い、負傷した子供を介抱する蒼玦。その子供は花魄の繭を抱えていた。蒼玦にはかつて花魄の妻がおり、その死を未だに引き摺っていた。自身の未来を子供に投影する蒼玦は、洪戒の反対を押し切って子供を救うことを決意する。


〈四〉沈紅

時は遡る。内向的な幼い蒼瑾は村の子供たちの輪になかなか入れずにいた。義姉・明媚の協力で仲間に入れてもらうも、幼さと少女のような容貌から子供たちのいじめに晒される。母たちに心配をかけまいとする蒼瑾を、父は陰ながら案じる。

劉家での晩餐より三日前。藍田の眷属・娃娃魚によって珠楼池に引き摺り込まれた蒼瑾は、異能力者であるが故に人界での生き辛さを抱えることを指摘される。取り込まれかけた蒼瑾を救ったのは沈紅という名の美女だった。沈紅は妖を退けるしるし・花徽を蒼瑾に授ける。


〈五〉 伽藍

沈紅が洪家を訪れた目的は、蒼瑾と翠緑玉の様子を確認することだった。沈紅は蒼玦に、蒼瑾の過去を明かす。

十年前、沈紅は白沙村の月心和尚を訪ねる。彼は友人の遺児・宵の後見を託されていたが、宵は自身の異能力で作った繭にひと月もの間閉じこもっていた。沈紅が繭を裂こうと試みた瞬間、宵の父と名乗る死鬼が現れる。死鬼は、死者の魂を取り込んだ息子を救うよう沈紅に懇願する。家族を喪い絶望に沈む宵に、沈紅は新たな生きる意味を与える。翠緑玉の誕生の真相と沈紅の意志を知った蒼玦は、大いに葛藤する。


〈六〉 慈父三遷

珠楼池で洗濯をしていた茉莉は、英覇と仲間たちに囲まれてしまう。英覇は焦りから、蒼瑾の代わりに傭人の茉莉に目を付けていた。ちょうどその日、蒼玦は蒼瑾を連れて中島の芹圃を訪れる予定だった。偶然にも、茉莉が英覇にからまれている様子を見かけ、蒼玦はその場に駆けつけて英覇に対峙する。英覇は蒼瑾のすぐ近くにいるにもかかわらず、本人に会話の機会を与えられず、自分が蒼瑾に嫌われていることに気付いて落胆する。茉莉との別れの後、一行は中島へと足を運び、蒼玦は蒼瑾と翠児の二人を芹圃に預ける。


〈七〉師弟

中島での下宿生活が始まる。その朝、湖畔で妖と遭遇した蒼瑾は、花徽の力が妖を退けられなかったことに疑念を抱く。一方、蒼瑾と翠児の親密な様子を目にした芹圃は、花巷での生活の心得を伝える。蒼瑾が自分に危険が及ばないと考えていることに不安を感じる。午後になり、芹圃は蒼瑾と翠児を養花堂支店に案内する。洪戒の弟である洪侖の歓待を受けるが、距離感の近さに戸惑う蒼瑾。芹圃の忠告を受けながらも上手く対処できずに落ち込む。芹圃はそんな蒼瑾に護身術を教える。夜が訪れ、沈紅は藍田から芹圃と蒼瑾が接触したことを知らされる。

!無断転載・AI学習禁止!
Do not reupload my art
Do not use my art for AI training

銀繭文庫

絵と文の一次創作サイト