探花抄 Ⅱ 登場人物・用語
〈主要人物〉
【蒼瑾】(そうきん)
己が凶行の精神的負荷によって記憶が欠落した十五歳の少年。
自身のトラウマにして唯一の繋がりである少女の面影を翠児に重ねる。
字は匿瑕(とくか)。幼名は宵(しょう)。本名は別にある。
何かと思い詰める傾向にあり、傷つきやすい性格。
【翠児(翠緑玉)】(すいじ/すいりょくぎょく)
顔に火傷を負った孤児──という設定のもと、花魄の翠緑玉が変装する姿。
蒼瑾のトラウマを刺激せぬよう姿を偽り、侍女として傍に侍る。
希少価値の高い花魄の中でも、魂を与えられて生長した激レアな存在。
【洪戒】(こうかい)
天眼児の異名を持つ游侠の徒。豪放磊落な三十五歳。字は長慎(ちょうしん)。
薬舗・養花堂の店主だが、経営は義弟にして番頭の蒼玦に丸投げ。
美少年いじりが趣味。蒼玦に対して初恋を拗らせている。独身。
【蒼玦】(そうけつ)
字は子環(しかん)。蒼瑾の義父。洪戒とは同年にして義兄弟。
皚国出身。花魄に魂を与えたとして界隈では高名な花匠だった。
妻を白来光に奪われて以来喪失を引き摺っている。独身。てきどに真面目。
【彤茜】(とうせん)
龍嚨関の紅灯区(色街)で働く奴隷の青年。灰色人生にすれた十九歳。
一家の大黒柱たる父親を「怪物」に殺され、母子ともども妓院に身を売る。
蒼瑾との出会いによって、燻っていた復讐心を再び熾すこととなる。
【茉莉】(まり)
洪家の傭人。十五歳。姓は丹(たん)だが、出自を呪っている。
洪戒の私生活のだらしなさを嫌悪するが、内心は深い情がある。
蒼瑾に懸想しており、彼と仲のいい翠児を煙たがる。根はいい子。
【張三郎】(ちょうさんろう)
洪家の傭人。名前は張さん家の三男、という意味。
洪戒と似たタイプの気質で、子供に構うのが好き。
【木菟翁】(ぼくとおう)
蒼瑾らが買い物に出掛けた際、ひったくりに遭った翁と遭遇する。
蒼瑾のことを気にする謎の深い老人。
〈用語〉
【龍嚨関】(りゅうろうかん)
灎国の関の置かれた谷間の城市。城内は無数の小径が複雑に入り組んでいる。
【珠楼鎮】(しゅろうちん)
灎国眉月県にある。湖辺に沿って築かれた珠楼池と呼ばれる円形湖の外縁に広がる集落群を一括りに珠楼鎮と呼ぶが、湖を中心に東西南北に区分される。初代灎王が逗留した景勝地。湖の中央に浮かぶ中島は歓楽街となっており、南街から架かる橋を渡る。中島に建てられた高楼と、かつてそこに暮らした灎王寵姫の名が鎮名の由来。
【養花堂】(ようかどう)
珠楼鎮南街にある薬舗。店主の洪戒は薬の仕入担当。操業は番頭である蒼玦にほぼ任せている。イケメン店主&番頭目当てに訪う常連客も多い。
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